講演者: |
Tomio Petrosky 博士 (The University of Texas、および、東京大学生産技術研究所) |
日時 : |
2010年 4月 15日(火) 16:30 〜 18:00 |
場所 : |
A13棟3階 講義室B 323室 |
要旨 : |
我々の太陽系では火星と木星の間に約百万個程の小惑星群が丁度土星の輪のように分布している。その分布は長径に関して一様ではなく、分布の内部に何本かの縞模様が存在していることが知られている。その縞構造のギャップの代表的なものはKirkwoodのギャプとして知られている。小惑星の運動はそれと太陽と木星に対する古典力学で有名な制限三体問題の典型的な例である。この縞構造の分布を、古典力学のリウビル演算子に関する固有スペクトルに現れるレベル反発に基づいたバンド構造として量的に分析する。その分析法はトランジスタ構造を論じる際の量子力学におけるハミルトニアンの固有値問題と本質的に同じである。しかし、古典力学ではハミルトニアンは時間発展の生成演算子ではないため、その方法の適用に際してはハミルトニアンその物ではなく、ハミルトニアンとの ポアソン括弧として定義される古典的な時間発展の生成演算子、すなわちリウビル演算子に対して適用した。その結果、レベル反発で評価された縞構造のギャップの大きさは観測値と大変近い値が得られた。さらに、ギャップ内の共鳴点上にしばしば存在する小惑星は、ギャプ内のスペクトルの3重縮退の結果として説明出来ることも示唆した。
|
問い合わせ: |
物理科学専攻 田中 智
( 内線 4042 / email stanaka @ p.s.osakafu-u.ac.jp ) |
pdfファイル |